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小説家がガチでオススメする星新一の7つのショートショート

星新一 絶賛したモノ

ショートショートの巨匠が書いた名作たち

水谷健吾です。小説をしています。

子供の頃からショートショートが大好きで、巨匠星新一さんの物語はこれでもかと読み漁りました。

 

しかし作品数が1000以上あるため、どの物語がどこに収録されていたのか?久しぶりに読み返したい時にどれを見ればよのか分からなくなることも。

ということで忘備録がてら、水谷がオススメする名作ショートショートと、それが収録されている本をご紹介していきます。

①「ボッコちゃん」収録作品

スマートなユーモア、ユニークな着想、シャープな諷刺にあふれ、光り輝く小宇宙群! 日本SFのパイオニア星新一のショートショート集。表題作品をはじめ、とても楽しく、ちょっぴりスリリングな自選50編。

この中でオススメな物語はこちら。

「ボッコちゃん」

表題にもある「ボッコちゃん」。オチはそれほど強烈ではありませんが、言葉の響きから記憶に残っている人も多いはず。バーの看板娘であるロボットの話です。

「おーい でてこーい」

「因果応報」を非常に明快に示している作品。英語の教科書に載っていました。

ある日、謎の穴を見つけた人々。声をかけても、何を投げ入れても反応はなく・・・

「殺し屋ですのよ」

タイトルの響きが良いのか星作品の代表作の一つとして扱われています。

どんな職業でも、見方を変えれば別の価値を生み出せるのだと教えてくれます。 

ボッコちゃん (新潮文庫)

ボッコちゃん (新潮文庫)

 

②「ようこそ地球さん」収録作品

文明の亀裂をこじあけて宇宙時代をのぞいてみたら、人工冬眠の流行で地上は静まりかえり、自殺は信仰にまで昇華し、宇宙植民地では大暴動が惹起している

―人類の未来に待ちぶせる悲喜劇を、皮肉げに笑い、人間の弱さに目を潤ませながら、奇想天外、卓抜なアイデアをとりまぜて描いたショートショート42編を収録。現代メカニズムの清涼剤とも言うべき大人のための寓話集です。

この中でオススメな物語はこちら

探検隊

地球に連れてこられた2匹の怪獣。人類の被害は尋常ではなかったのだがある日・・。

ある名作ドラマを強烈に皮肉った作品。放送時からかなりの年月が経った今でもニヤリと笑ってしまいます。

処刑

星新一シリーズの中でも最も人気のある話。ボタンを押すことで、水が出るものの一定確率で爆発する機械。ただのホラーではなく、人生哲学について考えさせられる物語です。

空への門

個人的に大好きな話。宇宙飛行士になるために絶え間ない努力をしてきたエリートの主人公。最後の一行で「おお!」と思わずう唸ってしまう名作です。ちなみにややオチが変えられたコミック版もあります。 

ようこそ地球さん (新潮文庫)

ようこそ地球さん (新潮文庫)

 

 

コミック☆星新一空への門

コミック☆星新一空への門

 

③「ごたごた気流」収録作品

一本の電話をうけたとたんショック状態に陥る人が、青年のまわりに続出しはじめた。わけを聞いても、みんな「なんでもない」の一点ばり。

いったいどんな電話なのか? 好奇心をかきたてられた青年に、ついにその電話が。そして……。(「なんでもない」) 表題作「ごたごた気流」ほか、皮肉でユーモラスな短編11編を収録。

この中でもオススメな物語はこちら

門のある家

これも大好きな話。どこかズレているのに妙に居心地が良いという不思議な物語。

「門のある家」を訪れた主人公は、 ふと家の中を覗いてみると、まるでその家の住人のように受け入れられて・・? 

ごたごた気流 (角川文庫)

ごたごた気流 (角川文庫)

 

④「午後の恐竜」収録作品

現代社会に突然出現した巨大な恐竜の群れ。蜃気楼か? 集団幻覚か? それとも立体テレビの放映でも始まったのか?─地球の運命をシニカルに描く表題作「午後の恐竜」

ティーチング・マシンになった教育ママ、体中に極彩色の模様ができた前衛芸術家、核爆弾になった大臣。ほかに、『戦う人』『契約時代』『理想的販売法』『幸運のベル』など全11編。

この中でもオススメな物語はこちら

午後の恐竜 

まるでハンマーで頭を叩かれたような強烈なラスト。鳥肌が立ってしまい、初めて読んだ時から10年近くが経っているものの、今でも良く覚えています。この話を見るためだけに買う価値があるくらい。

コミック版も出ているのでそちらを購入しても良いかも。 

コミック☆星新一午後の恐竜

コミック☆星新一午後の恐竜

 

 

午後の恐竜 (新潮文庫)

午後の恐竜 (新潮文庫)

 

⑤「妄想銀行」収録作品

人間のさまざまな妄想を取り扱うエフ博士の妄想銀行は連日大繁盛。しかし博士が、彼に思いを寄せる女から吸いとった妄想を自分の愛する女性に利用しようとしたのが誤ちのもとだった

―奇想天外なユーモアのあふれる表題作。ほかに、道で拾った風変りな鍵に合う鍵穴を探すことに情熱を傾ける男の物語『鍵』、人生修行に出て説教癖のついたロボットの話『人間的』などS・S32編。

遭難

人間の性質に焦点を絞った話。荒唐無稽であるのに、どこか納得してしまうのはやはり誰もがオチを読んだ時「分かる」と同意してしまうからでしょう。

宇宙の英雄

こちらも人間(?)の性分について。「遭難」とは異なり無自覚な悪意が前面に出ています。ゾッとするオチをお楽しみください。

妄想銀行 (新潮文庫)

妄想銀行 (新潮文庫)

 

 ⑥「盗賊会社」収録作品

私は盗賊株式会社の社員。泥棒ごっこのオモチャの製造販売の会社ではない。れっきとした、泥棒を営業とする会社だ。そんな仕事があったのかと内心うらやましがる人も多いかもしれない。平凡な日常のくり返しにあきあきしている人ならば……。

表題作の「盗賊会社」はじめ、斬新かつ奇抜なアイデアで、現代社会を鋭く、しかもユーモラスに風刺する36編のショートショートを収録。

盗賊会社

誰もが自分の会社に、自分の日常に思っていることを代弁してくれている作品。そしてそれを客観的に見ることで、人間の矮小さも感じることもできます。 

最高の贅沢

中学校の頃に読んで「人間の幸せってこういうところにあるのかも」と勝手に悟ってしまった物語。主人公が友人宅を尋ねるとそこは極寒と部屋と灼熱の部屋があり・・。 

盗賊会社 (新潮文庫)

盗賊会社 (新潮文庫)

 

 ⑦悪魔のいる天国 

ふとした気まぐれや思いつきによって、人間を残酷な運命へ突きおとす“悪魔”の存在を、卓抜なアイデアと透明な文体を駆使して描き出すショート・ショート36編を収録する。

人間に代って言葉を交わすロボットインコの話『肩の上の秘書』未来社会で想像力にあふれた人間を待ち受ける恐怖を描く『ピーターパンの島』など、日常社会、SFの世界、夢の空間にくりひろげられるファンタジア。

かわいいポリー

読み終えて、しばらく意味が分からず考えたのち、「あっ!」と全身に悪寒が走った傑作です。これは是非、一度読んでほしい。

ピーターパンの島

この話全体を覆っている残酷な雰囲気が特徴的。僕らが生きている世界もいつこうなるのか分からない危うさがあります。

ゆきとどいた生活

多分、100年後にはこういう世界になっているんじゃないかなと思える話。機械化されて便利になった世界が、時折のぞかせる不気味な黒い影を堪能できます。

[番外編]傑作選もオススメ!

上記の作品から面白い物語だけを集めた傑作選もオススメです。

「おーいでてこい」「午後の恐竜」「処刑」「ボッコちゃん」が収録されています。

おーいでてこーい ショートショート傑作選 (講談社青い鳥文庫)

おーいでてこーい ショートショート傑作選 (講談社青い鳥文庫)

 

水谷のショートショートもよければ

私、水谷もショートショートを書いております。当ブログで無料掲載しているのもあるのでよかったご覧ください。

無料ショートショート

 

こちらにも1作品だけ掲載。

「幸子」

小学生の頃。




学校の帰り道、赤いランドセルを背負った少女に呼びかけられた。

 

どことなく浮世離れてしているその子は、胸の部分に「さちこ」と書かれた名札をつけている。




 

 

「ずっとあなたのことが気になっていたの。もし良かったら仲良くしてくれない?」

 

 

 

 

それからさちこは僕と一緒にいることが多くなった。



 

 

 

 



学校の行き帰りの通学路。

 

「追いかけっこ、しよう」と突然走り出すさちこ。





 

 

夏休み。眩しい浜辺。

 

僕の友人たちの中に混じって遊んでいるさちこ。

 




 

 

中学生の時。彼女との初めての遊園地デート。

 

「あれに乗りたい」と観覧車を見ながら僕の右隣ではしゃぐさちこ。





 

 

 

高校生。夏の花火大会に彼女と行った時のこと。

 

「なんて綺麗なのかしら」とうっとりした声を出すさちこ。





 

 

そして社会人。一世一代のプロポーズ。

「素敵・・」と眩しそうな顔をしたさちこ。





 

 

やがて子供が生まれる。

純粋無垢な赤ん坊を見て「まるで天使みたいね。」と頬を緩ませたさちこ。





 

すぐに子供達は成長し、気づけば独り立ちをする歳となった。

 

 

 

「大丈夫かしら。」

 

長男が家を出る時は不安そうな表情をするさちこ。

 






 

 

 

さらに月日が経ち、

 



先日。ついに妻が亡くなった。

 

 

 






病室のベットの上。僕が見ている前でゆっくりと息をひきとる。

 

「ご臨終です。」

 

医師の声が聞こえる。







穏やかな最後だった。

 

 






「私は幸せだったわ。」

最後に妻はそう言った。

 

 

 





「僕もだよ。」

中学の時から付き合っていた最愛の人。いつも繋いでいた彼女の右手を握りながら、僕は優しく答える。

 







 

「またこれで二人だけになっちゃったね。」

 

僕の右隣。

 

あの頃と変わらずランドセルを背負っているさちこが言った。

 






 

幸子。

 

 

 

 






彼女は僕の側で、たくさんの「幸せ」を届けてくれた。